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心理的安全性ゲームを考案したアジャイルコーチ、やっとむさんを招いて勉強会を開催しました(後編)

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こんにちは。Mikatus(ミカタス)の土田です。

アジャイル開発や「心理的安全性ゲーム」で有名なやっとむさんこと安井 力さん(@yattom)に当社にお越しいただき開催した勉強会について、後編をお届けします。



前回に引き続き、エンジニアのインタビューから始まり、後半は質疑応答をお送りいたします。

それではどうぞ!

心理的安全性を担保したチームビルディングとは

「心理的安全性ゲーム」の会にも参加した福田さんは、心理的安全性について自分自身が感じてきたとある悩みを相談していました。

福田:本日はありがとうございます。早速の質問ですが、現実世界でチームの心理的安全性を高めるにはどうしたらよいでしょうか?

「心理的安全性ゲーム」の会に参加させていただき、その後社内でも何度か実施してみたのですが、ゲームとして面白い反面、どうしても現実世界とのギャップを感じてしまって悩んでいます。


やっとむさん:まず、心理的安全性には、「言うべきことは言ったほうがいいよね」という前提があります。発言すべきことが発言できずに、溜まっていくとよくありません。なので、心理的安全性を高めていくのであれば、間違いや失敗の話を積極的にするべきだと思います。

「仲良くなろう」だけでは、心理的安全性を高めることにはなりません。日々、言うべきことはお互いに言い合えるようになることで、チームがより良くなっていける状態を目指すことが大切です。

福田:ありがとうございます。そういった話はチームの振り返り会などで行うことが多いと思いますが、振り返りは同じ方法を継続した方が効果が高いのでしょうか?

やっとむさん:正解はないですね。KPT を3年やっていて KPT が合っているチームもありますし、飽きやすく定期的に振り返りの方法を変えるチームもあります。チームにとって効果がある手段を選ぶことが大切です。

振り返りの方法は多く、100種類以上あるんですよね。『アジャイル・レトロスペクティブズ』という本がありまして、振り返りがオープニングからクロージングまでの5段階で説明されていて、たくさんの振り返りの手法が掲載されています。

また、Retromat というサイトもありまして、これは様々な振り返りの方法が掲載されているだけでなく、複数の手法を組み合わせることができます。振り返りの取り組み方を変更するときには参考になるかもしれません。

福田:なるほど、ありがとうございます。

やっとむさん:はい。振り返りそのものでは目に見えるアウトプットが出るわけではないので、チームがモチベーションを維持できる方法を選ぶことが大事です。

そして、心理的安全性は振り返りでも大事になってきます。振り返りをするなかで、必ず人の問題が絡んできます。個人を責めないように注意しながらも、本質的な問題を発掘し、向き合う必要があります。

メンバー全員でプロジェクトを振り返る手法を紹介している『Project Ret rospectives』には「メンバーはベストを尽くしたと信じて振り返りをする。」という前提が登場します。仮に、業務時間中に居眠りをしていたとしても、そこで居眠りすることがトータルの生産性を高める方法だったと信じる。そうすることでチームの心理的安全性を高めます。

そして、振り返りで出る話は部外者に漏らさないことや、みんながベストを尽くしたという前提を共有することで、チームで取り組むべき課題だと考えられるようになっていきます。もしそれで評価や給料が下がると思ったら、誰もその課題や失敗については言い出さなくなりますよね(笑)


福田:そうなんですね。ありがとうございます。

あと、「言うべきことは言った方がいい」のはもちろんわかっているのですが…衝突するのが怖い、という気持ちが勝ってしまい、なかなか言えないことがあります。どうしたら良いでしょうか。

やっとむさん:それにはいろんな要因があります。『あなたのチームは、機能してますか?』という本では、チームの機能不全を5段階で表現しています。その中に「衝突への恐怖」がありますし、その前段に「信頼の欠如」というものがあります。

例えば、「信頼の欠如」を緩和するための方法として一緒に何かをやるというプラクティスがあります。「心理的安全性ゲーム」のようなゲームでもいいですし、『ピープルウェア』には休日にみんなで集まって料理をするなんていうのもあります。みんなで部屋の模様替えをするなど、一緒に何かに取り組むのもいいかもしれませんね。

福田:なるほど、現実世界で心理的安全性を高めるために、具体的にどういうことをすればいいかわかりました。これから実践していきます!

参加エンジニアとの質疑応答

最後に、一問一答形式の質疑応答となりました。大変盛り上がったなかから抜粋してお届けします!

Q PON:メンバーの感情がチームの問題に繋がることがあるかと思いますが、そういったネガティブな感情の対応はどうしたらいいでしょうか?

A やっとむさん:感情はみんな隠しがちですよね。チームの中で、いつもにこやかにしていなければならない。そうではなく、感情をきちんとそこにあるものとして扱うことが大切だと思います。

ダライ・ラマの著書に『なぜ人は破壊的な感情を持つのか』というものがあります。そこに「行動する前に認識しましょう」という言葉があります。チームの雰囲気が悪いときに、どうしたのと聞いてあげる。それだけで感情の問題が解決に向かうことがあります。

Q 滝澤:うまくいっているチームがある。そこに人を入れるときに気をつけなければならないことは何でしょうか?

A やっとむさん:その人がチームに合うかどうかはチームが判断できるはずです。できれば、チームが合う人を引っ張ってくるといいですね。スキルではなく、チームでうまくやれる人を探してくる。

『スクラム現場ガイド』では、ペーパーテストをする例があります。「我々はこういうことを大事にしている」という内容を基にすることで、方針や思いを理解してもらえるようにすると良いのではないでしょうか。

また、短期間でチームからメンバーの出入りが多いと、あまり良い影響がないので避けたいですね。

Q 土田:プルリクでレビューするときにどうしても修正点を指摘するので字面だと否定的に受け取られかねないなと思うことがあります。注意した方がいいことは何でしょうか?

A やっとむさん:言葉に気をつけなくてもいい関係が理想ですね。文字でのやりとりよりは、対面で直接言った方が柔らかく伝えやすいです。レビュー会みたいなのもいいですね。

お互いレビューをするようにしましょう。また、コードレビューで修正点だけに目がいきがちですが、いいところは褒められたらいいですね。LGTM 画像みたいなものもいいと思います。


いかがでしたでしょうか?

やっとむさんにお越しいただき、丁寧に質問に答えていただきました。

ひとつひとつが含蓄に富んだ内容で、エンジニアにも、エンジニア以外にも有意義な時間となりました。今日学んだ「心理的安全性」や「振り返り」をMikatusの組織づくりにも活かしていきたいと思います。


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